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FSUN事務局
2006年11月29日

11月29日付の産経新聞東京版(地域によっては12月1日掲載)にFSUN「女性・こども・命・未来を守る会」シリーズ「食の伝承」(20回予定)が掲載されました。

第一回は、香川芳子女史栄養大学学長の提言です。


食の伝承 1 食育の大事さ

女子栄養大学
香川芳子学長

 「食育基本法」が成立し、毎月19日は「食育の日」。最近は「食の教育」がクローズアップされています。どうしてでしょう。
 食は私たちの体をつくり、支えていて、生きるためには日々欠かすことができません。生物として生き抜くために、少ない食物をどのように見いだし、獲得するか。私たちの遺伝子に、刻み込まれてきました。
 人は周囲の動植物が基本的な食物です。本能的にエネルギーの多い成分への好みや、親に教わった食べ方を習慣にして、日々、意識しないで食べ続けてきました。食物や環境が変わっても、好きな食物を食べられれば、健康状態を気にせず過ごしがちです。
 私たちの食生活は半世紀前と比べて、大きく変わりました。昔は「晴れの日」だけのごちそうが、今は毎日でも食べられるようになりました。満足で幸せな食生活で、体格は立派になり、寿命も延長しました。
 例えば、人のエネルギー源になる炭水化物、タンパク質、脂肪という3つの食品成分のうち、脂肪が占める割合は50年前には総エネルギーの8%程度でしたが、今は25%になりました。これは欧米型の食べ方です。
 脂肪が多いとおいしく、自然に食べ過ぎてしまいます。動物性食品も貴重なごちそうでした。甘いもの、砂糖の多い菓子も特別なものでしたが、今では菓子もソフトドリンクでもふんだんにあります。こんなに豊な食に恵まれたことはありません。
 つい食べ過ぎて肥満、糖尿病、動脈硬化症、心筋梗塞などの生活習慣病が増加しています。動物性食品の過剰は日本人に珍しかった痛風をも激増させ、またエネルギーばかりの食品に偏って栄養バランスを崩し、健康への自信喪失からサプリメントなどへの過度な依存で、体調を崩すこともあります。
 私たちは自分の食べ物を変えてしまったのです。今、どのように食べればよいかを立ち止まって考え、健康に良い、幸せな食生活とは何かを知って実践することが大切です。生活習慣病による医療費は全体の約3割ですが、良い食生活で大幅に減らせます。
 食習慣は幼い時に身につきます。私たちは長年はぐくんでくれた日本の食生活に適合した体になっています。低カロリーで脂肪の少ない穀物や魚、野菜の豊富な食生活です。
 子供たちの食育には家庭が一番大切ですが、忙しくて朝食もきちんとできない家庭や、朝食抜きの悪習も広がっています。核家族が多いために祖父母からの食の伝承もなかなかできません。
 そんな中で日本の子供たちの健康を支えてきたのが学校給食です。栄養的な基準があり栄養士の責任で、なるべく伝統を重んじた料理を作り、清潔に用意される学校給食は日本の教育の宝です。いま、学校給食が、「食育」場として見直されています。

11月29日付・産経新聞より。
なお、記事の掲載許可は産経新聞社よりいただいております。


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