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FSUN事務局
2007年1月10日

1月10日付の産経新聞東京版にFSUN「女性・こども・命・未来を守る会」シリーズ「食の伝承4」(20回予定)が掲載されました。

第四回は、生活評論家の吉沢久子さんの提言です。


食の伝承4 食への教養

生活評論家
吉沢久子さん

 今朝もテレビをつけたら、何にはどれだけの食物繊維が入っているかを、いろいろな食品を示しながら、クイズ形式で出演者に答えさせていました。こういう食への知識を伝えるテレビ番組の多さに驚いています。食べ歩き、名店訪問、料理対決だの…。
 しかし、嫌いな番組もあります。ふと、テレビをつけました。出てきた映像は有名なタレントが料理を作り、有名なタレントや料理の先生が試食するという形でした。
 料理を知らないタレントが、用意された極上の材料を滅茶苦茶な使い方をして、何とか盛り付けるまでするのです。試食をする側には、吐き出す人さえいました。
 私が不愉快になったのは、上等な材料という認識もなく、せっかくの食材を吐き出すような料理を作らせるのは、ただ、笑いの材料に食材が使われているだけと思ったからです。食材に対して失礼です。
 あの15年間にわたった戦争を体験し、ひもじい思いで生きてきた私たち世代は、最高の食材を粗末に扱うことに特別、嫌な思いを持っているからかもしれません。
 庭にカボチャやサツマイモを作り、その茎やつるも食べ、革も食べた。菜っ葉やモヤシを作って、ひもじさの中でやっと生きてきました。そんな時代を知らない人の方が多い今は、私たち世代と食に関する価値観が違うのは当然だとも思います。
 ただ、その豊かさのために失った日本人の食文化というものを、思いだして伝えていくことは大切だと思っています。作る側は実直に、より良いものをと努力し、それを買って食べる側は、素材を無駄なく使い切り、おいしく食べる工夫をするのが食べ物へのマナーと心得てきました。
 貧富にかかわらず、一汁一菜、二葉。三菜ともなれば、ぜいたくと思うくらいに食事ができることへの感謝を持って生きてきました。そういう食についての基本的な姿勢は、食への教養ともいえることだと思います。
 週に5センチの大根の切れっ端しか配給されない食糧事情の中で生き抜いたことは、ものを大切に食べるという食への教養があったればこそ、とはいえないでしょうか。
 スローフードと横文字でいわれると注目します。メタポリック・シンドロームといわれれば、やせるための道具にお金を使い、サプリメントに頼る。そんな頼りたい生活者がこれ以上多くなってはたまりません。
 自分で調理し、バランスよく食べ、食への感謝を忘れない。そういう食への姿勢を身に付け、きちんとした食生活への知識を持つ努力、その総合されたものが「食の教養」ということではないのかと思います。
 大人がそれを身に付けなければ、子供への食育なんてできないと私は考えています。


1月10日付・産経新聞より。
なお、記事の掲載許可は産経新聞社よりいただいております。


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