「国連って、なんだろう」


資料 「国連のホームページ」から

国際連合は統治国家による組織であり、世界政府ではありません。国連はさまざまな紛争や問題を解決する手段を見つけ、そしてまた全ての人類に関する問題を取り扱い、方途を提供します。
国連は国家議会のように法律を制定しているわけではありません。しかし国連の会議室では、国の大小、貧富、政治的な見解、社会組織に関わりなく全世界の各国代表者が、国際共同体の方針決定について論議し投票しています。1995年には50年目をむかえました。
国連は6つの機関からなりたっています。オランダのハーグにある国際司法裁判所を除いて、すべての機関はニューヨークの国連本部にあります。

6つの主要機関

■総会


国際議会にもっとも近いと考えられている総会は、国連の主たる審議団体であります。185全てが参加し、投票権をもち、ほとんどの議題は多数決で決まり、重要問題については3分の2以上の賛成が必要です。
集会は9月の中旬から12月の中旬に開かれ、特別もしくは緊急の場合はそれに応じて開かれます。集会が開かれていない期間は、その活動は特別委員会や団体で行われます。
集会はすべての議題を国連憲章の範囲内で討議し勧告する権利を有し、集会は一部の国だけにより活動することはできず、その勧告は全世界の意見としての重みをもちます。集会は政策を立て、開発問題を指示し、平和維持活動などの予算を承認する事務局のプログラムを決定したりします。国連の中枢として集会は、他の機関からの報告を受けたり、参加国の承認、事務総長の指名をします。
 
■安全保障理事会


国際条約である国連憲章は、参加国に国際紛争を平和的手段で解決することを義務づけています。参加国は他の参加国へ脅威を与えたり、軍力を行使することは許されず、いかなる紛争も安全保障理事会のもとへ委ねることとなります。
理事会は、憲章により平和と安全の維持という責任を委ねられた機関であり、平和が脅かされればいつでも召集します。参加各国は理事会の決断に従わねばなりません。
理事会は15の参加国から成りたっており、その内の5カ国、中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカは常任理事国です。他の10カ国は二年おきに総会によって選ばれます。手続き上の決議を除いて、9票以上の賛成が必要であり、また“ヴィト”とよばれる常任理事国による不賛成がある場合は結論がでないこともあります。
国際平和が脅かされたような場合、理事会はまず当事国に平和手段による解決を要請します。そして仲介に乗り出したり、調停のための原則を発足し、また戦闘が起こることを避けるために平和維持軍を送り込むこともあります。もしも戦闘が起こってしまった場合は停戦命令を発することもあり、また当事国の同意を基に緊張緩和また両国軍の隔離のための平和維持軍を紛争地帯に送り込むこともあります。理事会は経済制裁を課したり、集合的な軍事政策をとって解決に漕ぎつかせる力をもっています。
理事会は、事務総長の候補や国連への新しいメンバーの推薦を総会に出すこともあります。

 

■経済社会理事会


経済社会理事会は総会の権限のもとで、国連と専門機関の経済そして社会業務を調整しています。理事会は54カ国で構成され、通常1年に一回通常会期を開きます。通常会期には、主要な経済、社会問題を討議するために閣僚その他の高官が出席する特別会合も含まれています。
理事会は、発展途上国の経済成長の促進、人権の順守、科学・テクノロジーの恩恵の普及、そしてよりよい住宅計画、家族計画、犯罪の防止などの分野での世界協力をめざす活動を勧告、指導しています。

 

■信託統治理事会


信託統治地域を管理する国家の責任として、その地域の自治あるいは独立への適切な準備を保証するためにつくられました。信託統治制度は、11の元信託統治地域で最後まで残っていて、アメリカに統治されていた太平洋諸島信託統治地域のパラオに対して、信託統治協定を廃止して、その目的を1994年に達成しました。全ての信託統治地域が単独国家として、もしくは近隣の独立国との合併などで、自治もしくは独立を果たしました。信託統治理事会は、その手続きを改正し、現在必要に応じた場合にのみ会議を開くこととしています。

 

■国際司法裁判所


世界裁判所として知られている国際司法裁判所は国連の主要な司法機関であり、総会と安全保障理事会によって選ばれる15名の裁判官によってなりたっています。当事国だけが裁判所に委託された件の当事国となりうるが、特別な条約規定により要請を受けていない限り、もし当事国が裁判に参加を希望しなければ、その必要はありません。

 

■事務局


事務局は、他の国連機関の要請に応え、それらの機関によるプログラムの実施を行います。170カ国から参加する900人を超える職員がNY本部を含め世界各国に点在し、国連の日々の運営を行っています。事務局の長として事務総長が存在します。

 

●事務総長の役割

事務総長は一個人の人間として、また交渉や真実の追求などといった特定明瞭なゴール達成のための特別代表やチームを任命するなど、平和維持の中枢的な役割をしています。
事務総長は、世界の平和や安全性に脅威を与えるであろういかなる問題をも安全保障理事会に定義することができます。事務総長は問題解決のために「仲介部門」を使うことも、舞台裏で「静かなる外交」を行うこともできます。
最近では論争の発生、拡大、普及を避けるために「防衛外交」を集中的に実施しています。事務総長は平和への脅威を避け、和平協定を維持するために役立っています。

 


国際法

 

国連は国際法の発達と法典化により、各国間における法規定拡張のために多大なる貢献をしてきました。
国際司法裁判所は各国間の重要な法的紛争を解決する手助けをしたり、国連活動に対して助言を行ったりし、また国際法律委員会は国際法のさらなる発展のために活動を行っています。
国連は国際貿易から環境保護問題にわたるほとんど全てに関するいくつもの国際会議や条約に携わってきました。「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」は男女平等の助長への重要な法的手段となりました。
また「麻薬および向精神薬の不正取引の防止に関する国連条約」は麻薬不正取引に対する重要な国際条約となりました。そして国連海洋法会議は全ての国が海へ公平に接することができることの保証、汚染からの保護、そして海洋調査の自由の促進を追求しています。

 


国連が求める公正さとは

 

国連は創設当初から国連憲章の最終目的である個人そして全人類への公正さと平等さを追求してきました。初の任務として国連は、生命・自由・国籍を持つ権利、思想・良心・信仰の自由の権利、また勤労・教育を受ける権利、そして政治に参加する権利などを含む「全ての人間が値する基本的な権利と自由」の歴史的な宣言である世界人権宣言をかたどりました。
この宣言は1948年12月10日に国連に採択され、この日は毎年「人権デー」として祝われています。1966年の経済的、社会的および文化的権利に関する規約と、市民的および政治的権利に関する規約の2つの国際人権規約が、宣言で規定された権利を拡張し、さらに法的な力をあたえることとなりました。それら3つの議定書が全ての国や人々の基準であり目標である国際人権章典をなしています。
国連は、人種差別、女性そして子供の権利などを含むさまざまな権利に関する国際会議の開催を手伝ってきました。
さらに国連が人権を促進するシステムを組み立て、国連人権高等事務官が暴力の防止を目的とした人権活動の調整や、人権侵害の調査とそれについての各国政府との対話を行ってしました。
国連人権委員会は、世界各国で起こりうる人権侵害についての公な会議を開く唯一の政府間機関です。この会議において、各国における人権活動を見直したり人権侵害に関する報告を受けたりしています。
国連活動は、1991年から1995年にエルサルバドールで行ったものに似た人権監視活動を現在ハイチとガテマラで行っています。

 
 
■自治と独立


基本的な権利、自治あるいは自分の政府を持つ権利は国連憲章が調印された当初からのゴールです。今日この目標は、以前植民地下であった多くの国々で現実化しています。
1960年国連総会は、植民地主義を早急に終結させるために「植民地独立付与宣言」を採択しました。それ以降8千万以上の人々が住む60を超す植民地が独立を達成し、統治国家として国連に加入しました。
今日まで200万以上の人々が住んでいる17非自治地域が残っています。総会は1900年−2000年を「国際植民地主義撤廃の10年」と宣言し、2000年までに植民地主義の終焉を目的としています。

 

●ナミビアの独立

国連はナミビアの独立を援助しました。1966年、国連総会は南アフリカからナミビアの任意統治を取り上げ、長引いた交渉の末、1989年に1978年の国連によるナミビア独立計画の実施を行いました。国連ナミビア独立移行支援グループはナミビア全土に渡り南アフリカ軍の撤退を監視し、1989年の選挙同様、70万人あまりの有権者の登録が初の独立政府の設立、そして1990年のナミビア独立へとつながりました。

 

 

■選挙の監視


国連は各国政府の要請に基づき、ニカラグアとハイチ(1990)、アンゴラ(1992)、エルサルバドル、南アフリカおよびモザンビーク(1994)、そしてハイチ(1995)で選挙を監視し、1993年にはエリトリアで住民投票の監視を行いました。国連監視団は選挙の準備や状況を、そして選挙当日は国内の投票所で集計を監視して、選挙の自由且つ公正であることを確認しました。
1992年以来、国連は60数カ国に、選挙を準備し実行するための技術的援助を提供してきました。

 

■アパルトヘイト


国連は30年以上にわたり南アフリカのアパルトヘイト(人種差別・隔離政策)に対する反対活動を行ってきました。その活動は武器禁輸からスポーツの分野での差別策に反対する会議開催などにわたり、1994年には、初の南アフリカ人すべてによる国民投票で民主的な政府の創設達成のための援助しました。国連南アフリカ監視団は選挙の移行を援助・監視し、人種差別の無い民主主義的な政府の設立と共にアパルトヘイトの終焉を達成しました。

 


国連が平和のためにすること
 
国連の主たる目的は世界平和を維持することにあり、各国間の論争の解決、緊張緩和、紛争の回避,闘争の終結に力をかしてきました。国連は平和を創り出し、平和を維持する努力、そして人道的なサポートを含む複雑な作業を遂行してきました。それゆえ近年もっとも長引いた紛争のいくつかを解決する大切な役割をになってきました。
問題解決の方法はいろいろとあります。安全保障理事会による停戦命令、そして紛争を終えるための指針の決定、事務総長の尽力、調停者による妥協策、非公式会見時の静かなる外交政策、実状調査団の派遣、監視団や参加国により作られた平和維持軍などがそうです。
1948年以来、国連は40以上もの平和維持活動を行っており、そのうち27の活動は1988年以降に行われました。75万以上の維持兵が1948年以来国連軍として働き、1400人以上もの兵が命を落としてきました。多くの民間人も国連軍に従事してきました。

 

●アフリカでは


ソマリアは1991年に市民戦争が起こり、結果として30万人以上の人が死に、500万人もの人が飢餓に瀕しました。国連は大量飢餓死、大量殺戮をさけるための援助を行いました。2回にわたり国連の活動が、秩序の回復、人道援助物資の輸送保護、国内での調和のために行われたが、ソマリアからの平和への協力がなかったため国連軍は1995年に軍を引かざるを得ませんでした。さまざまな国連機関が難しい状況下でいろいろな発展援助を行っています。
1992年、国連は1991年に結ばれたアンゴラ政府とアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)間による和平協定の監視活動を行ってきました。国連は公正な選挙を実施するための監視もおこなったが、UNITAは選挙結果の受け入れを拒否したため敵対関係が続きました。国連の援助のもと、国際的な仲介者の努力により、1994年に新しい和平協定ルサカ議定書がうまれました。1995国連機関が20わたる市民戦争明けのアンゴラを援助する一方、国連平和活動は新たにうまれた和平協定の監視を行っています。

 

●アジアでは


国連はイラン・イラク間の8年にわたる戦争の終結の立役者となりました。安全保障理事会と事務総長の仲介が1988年の終戦への導きとなり、1987年の国連和平案を両国が容認することとなりました。400人以上からなる国連イラン・イラク軍事監視団が、敵対関係の終結と軍の退陣を監督するために1991年までその地に残りました。
アフガニスタンでは、事務総長の個人特使による6年に渡る交渉が、1988年のアフガニスタン・パキスタン・ソ連・アメリカによる各国軍の撤退と内政不干渉へとこぎつけ、国連はアフガニスタン・パキスタンにおける国連仲介ミッションの監視を展開し始めました。ソ連の引き上げは1989年に予定通り完了しました。事務総長と外交特使によるアフガニスタンにおける和平協定への動きは続いています。
国連は12年にわたるカンボジアでの紛争終結を手助けしてきました。そして事務総長は長年に渡り平和達成のための仲介を行ってきました。紛争終結そして選挙準備のための和平条約調印と共に1991年に和解が生まれました。国連カンボジア暫定統治機構が、終戦の監視、武装解除、難民の本国返還、自由且つ公正な選挙を準備し実施する、などの任務をうけ、1993年の選挙は新政府の公正な設立へとつながりました。

 

●アメリカ大陸では


国連は中央アメリカでの紛争の解決に役立ってきました。1989年から1992年にかけて、国連中米監視団(ONUCA)は中央アメリカ5カ国によってなされた安全保障の公約を監視してきました。また国連は1990年のONUCAの武装解除により、2万2千人からなるコントラとして知られるニカラグア反政府の活動を不能にすることを可能としました。他の国連活動は、国連監視下のもとで行われた独立国では初めての選挙を監視しました。
エルサルバドルでは事務総長が、エルサルバドル政府とファラブンド・マルチ民族解放戦線(FMLN)の12年にわたる紛争を終えるための交渉に協力しました。事務総長の仲介により1992年、政府とFMLNの間で和平協定が結ばれ、それがエルサルバドル国内での和解へとつながりました。
国連はグアテマラで、グアテマラ政府とグアテマラ民族革命連合間の交渉を促進し、1994年に、30年に渡った紛争の調停への合意に結びつけました。国連グアテマラ人権検証団が1994年に設置され、総括的な和平協定のための交渉を促進してきました。
国連は1990年、ハイチ初の民主的な選挙を監視しました。1991年に軍事クーデターにより大統領が亡命した後、国連は民主主義回復への合意の仲介を行ってきました。しかし軍司令部が合意に応じなかったために、安全保障理事会は1994年に軍司令部の退任を促進するために多国籍軍を編成して、必要なあらゆる手段をとる権限を軍に与えました。アメリカ軍率いる国連多国籍軍のハイチ上陸後、亡命中の大統領がハイチに帰還し1995年に平和維持軍と国連ハイチミッションが多国籍軍から任務を引き継ぎました。

 

●ヨーロッパでは


国連は旧ユーゴスラビア国内紛争の解決・人事問題激増の緩和のために精力的に活動を行いました。平和復興のために国連は1991年に武器の禁輸を発動し、一方事務総長と特命大使は危機の解決に力を入れてきました。1992年から1995年に渡り、国連平和維持軍はクロアチアに平和と安全をもたらす努力を、そしてボスニア・ヘルツェゴビナ市民の安全保障、マケドニア・旧ユーゴスラビア連邦共和国が戦闘に巻き込まれないための努力を行ってきました。国連平和維持軍と国連機関は4百万に及ぶ人々に人道的な援助をしてきました。1995年のデイトン・パリ和平協定以後、縮小された国連ミッションは旧ユーゴスラビアで平和維持を援助、また国連機関も人民援助活動をし続けました。

 

●中東では


中東は国連にとって常に重大問題でした。1948年に軍事監視団である国連休定監視機構(UNTSO)が、最初のアラブ・イスラエル戦争中に安全保障理事会の要請により休戦の監視を行いました。UNTSOの役割は展開し続け、その軍事監視団は緊張緩和のためにその地域に残りました。
初の平和維持軍である国連緊急軍が1956年のスエズ危機の際に造られ、英・仏・イスラエル軍の撤退を監督し、平和維持に貢献しました。1973年戦争以降、2度に渡り平和維持軍が中東に送られ、第二次国連緊急軍は、エジプト・イスラエル和平協定が結ばれた1979年までシナイ半島に残り、国連兵力引き離し監視団はイスラエルとシリア軍のはさむゴラン高原に残りました。1978年に設置された国連レバノン暫定軍は、レバノン南部の安定に貢献し、その地域の人々の保護手段を与えてきました。



平和維持活動と共に国連は、中東の平和的解決への道を探し続けています。安全保障理事会の決議案242(1967年)と338(1973年)は包括的で、公明で、長続きのする平和のための主義を述べ、全面和解を追求する体制を維持しています。1993年と1994年のイスラエル・パレスチナ解放機構間の協定以降、国連コーディネーターは国連によるガザ地区とウエスト・バンクに居住するパレスチナ人への発展援助を監督しています。

 

●その他の活動


1996年初頭、国連平和維持軍はさまざまな問題地域で活動していました。ジャム・カシミール州におけるインド・パキスタン間の停戦地域にて(国連インド・パキスタン軍事監視団、1994年設置)、キプロスにて(国連キプロス平和維持軍、1964年設置)、イラン・クウェート境界線上にて(国連イラク・クウェート監視団、1991年設置)、西サハラにて(国連西サハラ住民投票ミッション、1991年設置)、グルジアにて(国連グルジア監視団,1993年設置)、リベリアにて(国連リベリア監視団、1993年設置)、そしてタジキスタン(国連タジキスタン監視団、1994年設置)などで活躍してきました。

 

■武装解除


軍備拡張競争の停止や戦争兵器の削除そして最終的な絶滅が国連の重大な関心事です。国連は武装解除交渉し、それを勧告し、研究する常置の討論の場であります。交渉は双務的、定期的にジェネバで開かれる軍縮会議のような国際機関を通じて行われます。
180カ国以上によって批准された核不拡散条約(NPT)に基づき、核保有国は他国に核兵器供給をせず、核軍備縮小を追求することに合意し、また非核保有国は核兵器の開発・獲得をしないことで合意しました。条約は国連に賛助されるかたちで1970年に発効となりました。この条約は再び開かれた会合により無期限に延長されたことにより大きな飛躍を成し遂げました。
他の条約は大気圏、宇宙そして海中での核兵器テストを禁止(1963年)としたり、宇宙空間(1967年)と海底(1971年)への核持ち込み禁止、細菌兵器(1972年)および化学兵器(1992年)の開発、生産、保有の禁止、そしてヨーロッパにおける普通兵器の削減、そして他の兵器の禁止や制限(1990年)などです。

 


国連が発展のためにすること

 

世界平和維持のために必要なことは、全人類の社会的・経済的発展です。これは国連の中枢であり、高生活水準、完全雇用、経済的・社会的発達を促進している国連憲章でも認識されています。そして多くのプログラムは世界全人類の生活水準向上を目標としています。
現在3分の4以上の人が発展途上国で生活していて、130万人もの人が貧困状態の中で生きています。そして世界でもっとも裕福な24カ国の平均収入が約270万円であるのに対して、もっとも貧しい45カ国の平均収入は約4万5千円です。
国連は国際経済の再建に力を入れてきており、それによって発展途上国の世界経済参入が可能となってきました。「国際発展計画の10年」の中で総会は世界中の国の貧富の差を減らすことを提言しています。総会は1994年の事務総長による「開発への課題」をもとに、開発のために各国間の協力を促進する計画を組み立てています。

 

■開発援助


社会・経済の進歩の一端を担っているのは「国連開発計画」(UNDP)です。国連の開発への主たる資金供給源であり、国連開発コーポレーションの主任でもあるUNDPは貧しい国々から飢餓をなくし、仕事を増やし、女性の地位向上を図り、環境を保護することに力をいれています。年間予算10億ドルで、175の発展途上国とその他の地域で問題解決に励んでいて、その他にUNDPの援助による活動のために、公的なそして私的なサポートから90億ドル近くを集めています。またほとんど全ての国が自発的に資金援助をしており、またその受領国はプロジェクトの約半分を自己負担しています。またもっとも貧しい国々によってUNDPの88%の資金が使われています。
その他の現在活動しているプログラムは、144カ国で援助活動を行っている国連児童基金(UNICEF)があり、その年間予算は約10億ドルです。UNICEFの主たる活動は予防注射を与え、健康診断、養育そして基本教育を行うことにあります。
国連環境計画(UNEP)は世界中で公正な環境問題への取り組みを推進しています。

 

■人道的な援助


国連は戦争、飢餓、自然災害などで被害を受けた国に人道的な援助を行っています。それらの援助の一部は世界食糧プログラムやUNICEFなどといった国連機関からの直接的な援助で行われます。1995年には15億ドル近くがこれらの人道的な活動のために集められました。国連難民高等弁務官事務所は世界中の2700万もの人々を保護、援助し、そしてそれらの人々の状態改善を常に捜し求めています。

 

■国連の関連政府間機関


以下の14の特別専門機関がそれぞれの分野で開発と国際協調のために存在します。
国際労働機関(ILO)
国連食糧農業機関(FAO)
国連教育科学文化機関(UNESCO)
世界保健機関(WHO)
世界銀行
世界通貨基金(IMF)
国際民間航空機関(ICAO)
万国郵便連合(UPU)
国際電気通信連合(ITU)
世界気象機関(WMO)
国際海事機関(IMO)
世界知的所有権機関(WIPO)
国際農業開発基金(IFAD)
国連工業開発機関(UNIDO)
その他にも特別専門機関ではないが、国際原子力機関(IAKE)や世界貿易機関(WTO)が国連機関と共同活動を行っています。

 

国際連合は統治国家による組織であり、世界政府ではありません。国連はさまざまな紛争や問題を解決する手段を見つけ、そしてまた全ての人類に関する問題を取り扱い、方途を提供します。

 

 




国際連合憲章

 

われら連合国の人民は、
われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、
基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、
正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、
一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること
並びに、このために、
寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、
国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、
共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、
すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、
これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。
よって、われらの各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機構を設ける。



第1章 目的及び原則

 

第1条

国際連合の目的は、次のとおりである。
1.国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とそのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至るおそれのある国際的の紛争又は事態の調整、又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
2.人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
3.経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。
4.これらの共通の目的の達成に当って諸国の行動を調和するための中心となること。


第2条

この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従つて行動しなければならない。
1.この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。

2.すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
3.すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。
4.すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
5.すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を憤まなければならない。
6.この機構は、国際連合加盟国でない国が、国際の平和及び安全の維持に必要な限り、これらの原則に従って行動することを確保しなければならない。
7.この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7章に基く強制措置の適用を妨げるものではない。

 


第2章 加盟国の地位

 

第3条

国際連合の原加盟国は、サン・フランシスコにおける国際機構に関する連合国会議に参加した国又はさきに1942年1月1日の連合国宣言に署名した国で、この憲章に署名し、且つ、第110条に従ってこれを批准するものをいう。


第4条
1.国際連合における加盟国の地位は、この憲章に掲げる義務を受諾し、且つ、この機構によってこの義務を履行する能力及び意思があると認められる他のすべての平和愛好国に開放されている。
2.前記の国が国際連合加盟国となることの承認は、安全保障理事会の勧告に基いて、総会の決定によって行われる。


第5条

安全保障理事会の防止行動又は強制行動の対象となった国際連合加盟国に対しては、総会が、安全保障理事会の勧告に基いて、加盟国としての権利及び特権の行使を停止することができる。これらの権利及び特権の行使は、安全保障理事会が回復することができる。


第6条

この憲章に掲げる原則に執拗に違反した国際連合加盟国は、総会が、安全保障理事会の勧告に基いて、この機構から除名することができる。




第3章 機 関

 

第7条
1.国際連合の主要機関として、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所及び事務局を設ける。
2.必要と認められる補助機関は、この憲章に従って設けることができる。


第8条

国際連合は、その主要機関及び補助機関に男女がいかなる地位にも平等の条件で参加する資格があることについて、いかなる制限も設けてはならない。

 


第4章 総 会

 

・構 成

第9条
1.総会は、すべての国際連合加盟国で構成する。
2.各加盟国は、総会において5人以下の代表者を有するものとする。


・任務及び権限

第10条

総会は、この憲章の範囲内にある問題若しくは事項又はこの憲章に規定する機関の権限及び任務に関する問題若しくは事項を討議し、並びに、第12条に規定する場合を除く外、このような問題又は事項について国際連合加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告をすることができる。


第11条
1.総会は、国際の平和及び安全の維持についての協力に関する一般原則を、軍備縮小及び軍備規制を律する原則も含めて、審議し、並びにこのような原則について加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告をすることができる。
2.総会は、国際連合加盟国若しくは安全保障理事会によって、又は第35条2に従い国際連合加盟国でない国によって総会に付託される国際の平和及び安全の維持に関するいかなる問題も討議し、並びに、第l2条に規定する場合を除く外、このような問題について、1若しくは2以上の関係国又は安全保障理事会あるいはこの両者に対して勧告をすることができる。このような問題で行動を必要とするものは、討議の前又は後に、総会によって安全保障理事会に付託されなければならない。
3.総会は、国際の平和及び安全を危くするおそれのある事態について、安全保障理事会の注意を促すことができる。
4.本条に掲げる総会の権限は、第10条の一般的範囲を制限するものではない。


第12条
1.安全保障理事会がこの憲章によって与えられた任務をいずれかの紛争又は事態について遂行している間は、総会は、安全保障理事会が要請しない限り、この紛争又は事態について、いかなる勧告もしてはならない。
2.事務総長は、国際の平和及び安全の維持に関する事項で安全保障理事会が取り扱っているものを、その同意を得て、会期ごとに総会に対して通告しなければならない。事務総長は、安全保障理事会がその事項を取り扱うことをやめた場合にも、直ちに、総会又は、総会が開会中でないときは、国際連合加盟国に対して同様に通告しなければならない。


第13条
1.総会は、次の目的のために研究を発議し、及び勧告をする。 a.政治的分野において国際協力を促進すること並びに国際法の漸進的発達及び法典化を奨励すること。

b.経済的、社会的、文化的、教育的及び保健的分野において国際協力を促進すること並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を実現するように援助すること。

2.前記のlbに掲げる事項に関する総会の他の責任、任務及び権限は、第9章及び第l0章に掲げる。


第14条

第12条の規定を留保して、総会は、起因にかかわりなく、一般的福祉又は諸国間の友好関係を害するおそれがあると認めるいかなる事態についても、これを平和的に調整するための措置を勧告することができる。この事態には、国際連合の目的及び原則を定めるこの憲章の規定の違反から生ずる事態が含まれる。


第15条
1.総会は、安全保障理事会から年次報告及び特別報告を受け、これを審議する。この報告は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を維持するために決定し、又はとった措置の説明を含まなければならない。
2.総会は、国際連合の他の機関から報告を受け、これを審議する。


第16条

総会は、第l2章及び第l3章に基いて与えられる国際信託統治制度に関する任務を遂行する。この任務には、戦略地区として指定されない地区に関する信託統治協定の承認が含まれる。


第17条
1.総会は、この機構の予算を審議し、且つ、承認する。
2.この機構の経費は、総会によって割り当てられるところに従って、加盟国が負担する。
3.総会は、第57条に掲げる専門機関との財政上及び予算上の取極を審議し、且つ、承認し、並びに、当該専門機関に勧告をする目的で、この専門機関の行政的予算を検査する。


・表 決

第18条
1.総会の各構成国は、1個の投票権を有する。
2.重要問題に関する総会の決定は、出席し且つ投票する構成国の3分の2の多数によって行われる。重要問題には、国際の平和及び安全の維持に関する勧告、安全保障理事会の非常任理事国の選挙、経済社会理事会の理事国の選挙、第86条1cによる信託統治理事会の理事国の選挙、新加盟国の国際連合への加盟の承認、加盟国としての権利及び特権の停止、加盟国の除名、信託統治制度の運用に関する問題並びに予算問題が含まれる。
3.その他の問題に関する決定は、3分の2の多数によって決定されるべき問題の新たな部類の決定を含めて、出席し且つ投票する構成国の過半数によって行われる。


第19条

この機構に対する分担金の支払が延滞している国際連合加盟国は、その延滞金の額がその時までの満2年間にその国から支払われるべきであった分担金の額に等しいか又はこれをこえるときは、総会で投票権を有しない。但し、総会は、支払の不履行がこのような加盟国にとってやむを得ない事情によると認めるときは、その加盟国に投票を許すことができる。


・手 続

第20条

総会は、年次通常会期として、また、必要がある場合に特別会期として会合する。特別会期は、安全保障理事会の要請又は国際連合加盟国の過半数の要請があったとき、事務総長が招集する。


第21条

総会は、その手続規則を採択する。総会は、その議長を会期ごとに選挙する。


第22条

総会は、その任務の遂行に必要と認める補助機関を設けることができる。

 


第5章 安全保障理事会

 

・構 成

第23条
1.安全保障理事会は、15の国際連合加盟国で構成する。中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国は、安全保障理事会の常任理事国となる。
総会は、第一に国際の平和及び安全の維持とこの機構その他の目的とに対する国際連合加盟国の貢献に、更に衡平な地理的分配に特に妥当な考慮を払って、安全保障理事会の非常任理事国となる他の10の国際連合加盟国を選挙する。
2.安全保障理事会の非常任理事国は、2年の任期で選挙される。安全保障理事会の理事国の定数が11から15に増加された後の第1回の非常任理事国の選挙では、追加の4理事国のうち2理事国は、1年の任期で選ばれる。退任理事国は、引き続いて再選される資格がない。
3.安全保障理事会の各理事国は、1人の代表者を有する。


・任務及び権限

第24条
1.国際連合の迅速且つ有効な行動を確保するために、国際連合加盟国は、国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任を安全保障理事会に負わせるものとし、且つ、安全保障理事会がこの責任に基く義務を果すに当って加盟国に代って行動することに同意する。
2.前記の義務を果すに当っては、安全保障理事会は、国際連合の目的及び原則に従って行動しなければならない。この義務を果すために安全保障理事会に与えられる特定の権限は、第6章、第7章、第8章及び第12章で定める。
3.安全保障理事会は、年次報告を、また、必要があるときは特別報告を総会に審議のため提出しなければならない。


第25条

国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する。


第26条

世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少くして国際の平和及び安全の確立及び維持を促進する目的で、安全保障理事会は、軍備規制の方式を確立するため国際連合加盟国に提出される計画を、第47条に掲げる軍事参謀委員会の援助を得て、作成する責任を負う。


・表 決

第27条
1.安全保障理事会の各理事国は、1個の投票権を有する。
2.手続事項に関する安全保障理事会の決定は、9理事国の賛成投票によって行われる。
3.その他のすべての事項に関する安全保障理事会の決定は、常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票によって行われる。但し、第6章及び第52条3に基く決定については、紛争当事国は、投票を棄権しなければならない。


・手 続

第28条
1.安全保障理事会は、継続して任務を行うことができるように組織する。このために、安全保障理事会の各理事国は、この機構の所在地に常に代表者をおかなければならない。
2.安全保障理事会は、定期会議を開く。この会議においては、各理事国は、希望すれば、閣員又は特に指名する他の代表者によって代表されることができる。
3.安全保障理事会は、その事業を最も容易にすると認めるこの機構の所在地以外の場所で、会議を開くことができる。


第29条

安全保障理事会は、その任務の遂行に必要と認める補助機関を設けることができる。


第30条

安全保障理事会は、議長を選定する方法を含むその手続規則を採択する。


第31条

安全保障理事会の理事国でない国際連合加盟国は、安全保障理事会に付託された問題について、理事会がこの加盟国の利害に特に影響があると認めるときはいつでも、この問題の討議に投票権なしで参加することができる。


第32条

安全保障理事会の理事国でない国際連合加盟国又は国際連合加盟国でない国は、安全保障理事会の審議中の紛争の当事者であるときは、この紛争に関する討議に投票権なしで参加するように勧誘されなければならない。安全保障理事会は、国際連合加盟国でない国の参加のために公正と認める条件を定める。

 


第6章 紛争の平和的解決

 

第33条
1.いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。
2.安全保障理事会は、必要と認めるときは、当事者に対して、その紛争を前記の手段によって解決するように要請する。


第34条

安全保障理事会は、いかなる紛争についても、国際的摩擦に導き又は紛争を発生させる虞のあるいかなる事態についても、その紛争又は事態の継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞があるかどうかを決定するために調査することができる。


第35条
1.国際連合加盟国は、いかなる紛争についても、第34条に掲げる性質のいかなる事態についても、安全保障理事会又は総会の注意を促すことができる。
2.国際連合加盟国でない国は、自国が当事者であるいかなる紛争についても、この憲章に定める平和的解決の義務をこの紛争についてあらかじめ受諾すれば、安全保障理事会又は総会の注意を促すことができる。
3.本条に基いて注意を促された事項に関する総会の手続は、第11条及び第12条の規定に従うものとする。


第36条
1.安全保障理事会は、第33条に掲げる性質の紛争又は同様の性質の事態のいかなる段階においても、適当な調整の手続又は方法を勧告することができる。
2.安全保障理事会は、当事者が既に採用した紛争解決の手続を考慮に入れなければならない。
3.本条に基いて勧告をするに当っては、安全保障理事会は、法律的紛争が国際司法裁判所規程の規定に従い当事者によって原則として同裁判所に付託されなければならないことも考慮に入れなければならない。


第37条
1.第33条に掲げる性質の紛争の当事者は、同条に示す手段によってこの紛争を解決することができなかったときは、これを安全保障理事会に付託しなければならない。
2.安全保障理事会は、紛争の継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞が実際にあると認めるときは、第36条に基く行動をとるか、適当と認める解決条件を勧告するかのいずれかを決定しなければならない。


第38条

第33条から第37条までの規定にかかわらず、安全保障理事会は、いかなる紛争についても、すべての紛争当事者が要請すれば、その平和的解決のためにこの当事者に対して勧告をすることができる。

 


第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動

 

第39条

安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。


第40条

事態の悪化を防ぐため、第39条の規定により勧告をし、又は措置を決定する前に、安全保障理事会は、必要又は望ましいと認める暫定措置に従うように関係当事者に要請することができる。この暫定措置は、関係当事者の権利、請求権又は地位を害するものではない。安全保障理事会は、関係当事者がこの暫定措置に従わなかったときは、そのことに妥当な考慮を払わなければならない。


第41条

安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。


第42条

安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であると認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。


第43条
1.国際の平和及び安全の維持に貢献するため、すべての国際連合加盟国は、安全保障理事会の要請に基き且つ1又は2以上の特別協定に従って、国際の平和及び安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する。この便益には、通過の権利が含まれる。
2.前記の協定は、兵力の数及び種類、その出動準備程度及び一般的配置並びに提供されるべき便益及び援助の性質を規定する。
3.前記の協定は、安全保障理事会の発議によって、なるべくすみやかに交渉する。この協定は、安全保障理事会と加盟国との間又は安全保障理事会と加盟国群との間に締結され、且つ、署名国によって各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない。


第44条

安全保障理事会は、兵力を用いることに決定したときは、理事会に代表されていない加盟国に対して第43条に基いて負った義務の履行として兵力を提供するように要請する前に、その加盟国が希望すれば、その加盟国の兵力中の割当部隊の使用に関する安全保障理事会の決定に参加するようにその加盟国を勧誘しなければならない。


第45条

国際連合が緊急の軍事措置をとることができるようにするために、加盟国は、合同の国際的強制行動のため国内空軍割当部隊を直ちに利用に供することができるように保持しなければならない。これらの割当部隊の数量及び出動準備程度並びにその合同行動の計画は、第43条に掲げる1又は2以上の特別協定の定める範囲内で、軍事参謀委員会の援助を得て安全保障理事会が決定する。


第46条

兵力使用の計画は、軍事参謀委員会の援助を得て安全保障理事会が作成する。


第47条
1.国際の平和及び安全の維持のための安全保障理事会の軍事的要求、理事会の自由に任された兵力の使用及び指揮、軍備規制並びに可能な軍備縮小に関するすべての問題について理事会に助言及び援助を与えるために、軍事参謀委員会を設ける。
2.軍事参謀委員会は、安全保障理事会の常任理事国の参謀総長又はその代表者で構成する。この委員会に常任委員として代表されていない国際連合加盟国は、委員会の責任の有効な遂行のため委員会の事業へのその国の参加が必要であるときは、委員会によってこれと提携するように勧誘されなければならない。
3.軍事参謀委員会は、安全保障理事会の下で、理事会の自由に任された兵力の戦略的指導について責任を負う。この兵力の指揮に関する問題は、後に解決する。
4.軍事参謀委員会は、安全保障理事会の許可を得て、且つ、適当な地域的機関と協議した後に、地域的小委員会を設けることができる。


第48条
1.国際の平和及び安全の維持のための安全保障理事会の決定を履行するのに必要な行動は、安全保障理事会が定めるところに従って国際連合加盟国の全部又は一部によってとられる。
2.前記の決定は、国際連合加盟国によって直接に、また、国際連合加盟国が参加している適当な国際機関におけるこの加盟国の行動によって履行される。


第49条

国際連合加盟国は、安全保障理事会が決定した措置を履行するに当って、共同して相互援助を与えなければならない。


第50条

安全保障理事会がある国に対して防止措置又は強制措置をとったときは、他の国でこの措置の履行から生ずる特別の経済問題に自国が当面したと認めるものは、国際連合加盟国であるかどうかを問わず、この問題の解決について安全保障理事会と協議する権利を有する。


第51条

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

 


第8章 地域的取極

 

第52条
1.この憲章のいかなる規定も、国際の平和及び安全の維持に関する事項で地域的行動に適当なものを処理するための地域的取極又は地域的機関が存在することを妨げるものではない。但し、この取極又は機関及びその行動が国際連合の目的及び原則と一致することを条件とする。
2.前記の取極を締結し、又は前記の機関を組織する国際連合加盟国は、地方的紛争を安全保障理事会に付託する前に、この地域的取極又は地域的機関によってこの紛争を平和的に解決するようにあらゆる努力をしなければならない。
3.安全保障理事会は、関係国の発意に基くものであるか安全保障理事会からの付託によるものであるかを問わず、前記の地域的取極又は地域的機関による地方的紛争の平和的解決の促進を奨励しなければならない。
4.本条は、第34条及び第35条の適用をなんら害するものではない。


第53条
1.安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第l07条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。
2.本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。


第54条

安全保障理事会は、国際の平和及び安全の維持のために地域的取極に基いて又は地域的機関によって開始され又は企図されている活動について、常に充分に通報されていなければならない。


第9章 経済的及び社会的国際協力

 

第55条

人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の平和的且つ友好的関係に必要な安定及び福祉の条件を創造するために、国際連合は、次のことを促進しなければならない。

a.一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件
b.経済的、社会的及び保健的国際問題と関係国際問題の解決並びに文化的及び教育的国際協力
c.人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守


第56条

すべての加盟国は、第55条に掲げる目的を達成するために、この機構と協力して、共同及び個別の行動をとることを誓約する。


第57条
1.政府間の協定によって設けられる各種の専門機関で、経済的、社会的、文化的、教育的及び保健的分野並びに関係分野においてその基本的文書で定めるところにより広い国際的責任を有するものは、第36条の規定に従って国際連合と連携関係をもたされなければならない。
2.こうして国際連合と連携関係をもたされる前記の機関は、以下専門機関という。


第58条

この機構は、専門機関の政策及び活動を調整するために勧告をする。


第59条

この機構は、適当な場所には、第55条に掲げる目的の達成に必要な新たな専門機関を設けるために関係国間の交渉を発議する。


第60条

この章に掲げるこの機構の任務を果す責任は、総会及び、総会の権威の下に、経済社会理事会に課せられる。理事会は、このために第l0章に掲げる権限を有する。

 


第10章 経済社会理事会

 

構 成

第61条
1.経済社会理事会は、総会によって選挙される54の国際連合加盟国で構成する。
2.3の規定を留保して、経済社会理事会の18理事国は、3年の任期で毎年選挙される。退任理事国は、引き続いて再選される資格がある。
3.経済社会理事会の理事国の定数が27から54に増加された後の第1回の選挙では、その年の終りに任期が終了する9理事国に代って選挙される理事国に加えて、更に27理事国が選挙される。このようにして選挙された追加の27理事国のうち9理事国の任期は1年の終りに、他の9理事国の任期は2年の終りに、総会の定めるところに従って終了する。
4.経済社会理事会の各理事国は、1人の代表者を有する。


・任務及び権限

第62条
1.経済社会理事会は、経済的、社会的、文化的、教育的及び保健的国際事項並びに関係国際事項に関する研究及び報告を行い、又は発議し、並びにこれらの事項に関して総会、国際連合加盟国及び関係専門機関に勧告をすることができる。
2.理事会は、すべての者のための人権及び基本的自由の尊重及び遵守を助長するために、勧告をすることができる。
3.理事会は、その権限に属する事項について、総会に提出するための条約案を作成することができる。
4.理事会は、国際連合の定める規則に従って、その権限に属する事項について国際会議を招集することができる。


第63条
1.経済社会理事会は、第57条に掲げる機関のいずれとの間にも、その機関が国際連合と連携関係をもたされるについての条件を定める協定を締結することができる。この協定は、総会の承認を受けなければならない。
2.理事会は、専門機関との協議及び専門機関に対する勧告並びに総会及び国際連合加盟国に対する勧告によって、専門機関の活動を調整することができる。


第64条
1.経済社会理事会は、専門機関から定期報告を受けるために、適当な措置をとることができる。理事会は、理事会の勧告と理事会の権限に属する事項に関する総会の勧告とを実施するためにとられた措置について報告を受けるため、国際連合加盟国及び専門機関と取極を行うことができる。
2.理事会は、前記の報告に関するその意見を総会に通報することができる。


第65条

経済社会理事会は、安全保障理事会に情報を提供することができる。経済社会理事会は、また、安全保障理事会の要請があったときは、これを援助しなければならない。


第66条
1.経済社会理事会は、総会の勧告の履行に関して、自己の権限に属する任務を遂行しなければならない。
2.理事会は、国際連合加盟国の要請があったとき、又は専門機関の要請があったときは、総会の承認を得て役務を提供することができる。
3.理事会は、この憲章の他の箇所に定められ、又は総会によって自己に与えられるその他の任務を遂行しなければならない。


・表 決

第67条
1.経済社会理事会の各理事国は、1個の投票権を有する。
2.経済社会理事会の決定は、出席し且つ投票する理事国の過半数によって行われる。


・手 続

第68条

経済社会理事会は、経済的及び社会的分野における委員会、人権の伸張に関する委員会並びに自己の任務の遂行に必要なその他の委員会を設ける。


第69条

経済社会理事会は、いずれの国際連合加盟国に対しても、その加盟国に特に関係のある事項についての審議に投票権なしで参加するように勧誘しなければならない。


第70条

経済社会理事会は、専門機関の代表者が理事会の審議及び理事会の設ける委員会の審議に投票権なしで参加するための取極並びに理事会の代表者が専門機関の審議に参加するための取極を行うことができる。


第71条

経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある民間団体と協議するために、適当な取極を行うことができる。この取極は、国際団体との間に、また、適当な場合には、関係のある国際連合加盟国と協議した後に国内団体との間に行うことができる。


第72条
1.経済社会理事会は、議長を選定する方法を含むその手続規則を採択する。
2.経済社会理事会は、その規則に従って必要があるときに会合する。この規則は、理事国の過半数の要請による会議招集の規定を含まなければならない。

 


第11章 非自治地域に関する宣言

 

第73条

人民がまだ完全には自治を行うに至っていない地域の施政を行う責任を有し、又は引き受ける国際連合加盟国は、この地域の住民の利益が至上のものであるという原則を承認し、且つ、この地域の住民の福祉をこの憲章の確立する国際の平和及び安全の制度内で最高度まで増進する義務並びにそのために次のことを行う義務を神聖な信託として受諾する。

a.関係人民の文化を充分に尊重して、この人民の政治的、経済的、社会的及び教育的進歩、公正な待遇並びに虐待からの保護を確保すること。
b.各地域及びその人民の特殊事情並びに人民の進歩の異なる段階に応じて、自治を発達させ、人民の政治的願望に妥当な考慮を払い、且つ、人民の自由な政治制度の漸進的発達について人民を援助すること。
c.国際の平和及び安全を増進すること。
d.本条に掲げる社会的、経済的及び科学的目的を実際に達成するために、建設的な発展措置を促進し、研究を奨励し、且つ、相互に及び適当な場合には専門国際団体と協力すること。
e.第12章及び第l3章の適用を受ける地域を除く外、前記の加盟国がそれぞれ責任を負う地域における経済的、社会的及び教育的状態に関する専門的性質の統計その他の資料を、安全保障及び憲法上の考慮から必要な制限に従うことを条件として、情報用として事務総長に定期的に送付すること。


第74条

国際連合加盟国は、また、本章の適用を受ける地域に関するその政策を、その本土に関する政策と同様に、世界の他の地域の利益及び福祉に妥当な考慮を払った上で、社会的、経済的及び商業的事項に関して善隣主義の一般原則に基かせなければならないことに同意する。

 


第12章 国際信託統治制度

 

第75条

国際連合は、その権威の下に、国際信託統治制度を設ける。この制度は、今後の個々の協定によってこの制度の下におかれる地域の施政及び監督を目的とする。この地域は、以下信託統治地域という。


第76条

信託統治制度の基本目的は、この憲章の第1条に掲げる国際連合の目的に従つて、次のとおりとする。

a.国際の平和及び安全を増進すること。
b.信託統治地域の住民の政治的、経済的、社会的及び教育的進歩を促進すること。各地域及びその人民の特殊事情並びに関係人民が自由に表明する願望に適合するように、且つ、各信託統治協定の条項が規定するところに従って、自治または独立に向っての住民の漸進的発達を促進すること。
c.人種、性、言語または宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように奨励し、且つ、世界の人民の相互依存の認識を助長すること。
d.前記の目的の達成を妨げることなく、且つ、第80条の規定を留保して、すべての国際連合加盟国及びその国民のために社会的、経済的及び商業的事項について平等の待遇を確保し、また、その国民のために司法上で平等の待遇を確保すること。


第77条
1.信託統治制度は、次の種類の地域で信託統治協定によつてこの制度の下におかれるものに適用する。 a.現に委任統治の下にある地域
b.第二次世界戦争の結果として敵国から分離される地域
c.施政について責任を負う国によつて自発的にこの制度の下におかれる地域

2.前記の種類のうちのいずれの地域がいかなる条件で信託統治制度の下におかれるかについては、今後の協定で定める。


第78条

国際連合加盟国の間の関係は、主権平等の原則の尊重を基礎とするから、信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。


第79条

信託統治制度の下におかれる各地域に関する信託統治の条項は、いかなる変更又は改正も含めて、直接関係国によって協定され、且つ、第83条及び第85条に規定するところに従って承認されなければならない。この直接関係国は、国際連合加盟国の委任統治の下にある地域の場合には、受任国を含む。


第80条
1.第77条、第79条及び第81条に基いて締結され、各地域を信託統治制度の下におく個個の信託統治協定において協定されるところを除き、また、このような協定が締結される時まで、本章の規定は、いずれの国又はいずれの人民のいかなる権利をも、また、国際連合加盟国がそれぞれ当事国となっている現存の国際文書の条項をも、直接又は間接にどのようにも変更するものと解釈してはならない。
2.本条1は、第77条に規定するところに従って委任統治地域及びその他の地域を信託統治制度の下におくための協定の交渉及び締結の遅滞又は延期に対して、根拠を与えるものと解釈してはならない。


第81条

信託統治協定は、各場合において、信託統治地域の施政を行うについての条件を含み、且つ、信託統治地域の施政を行う当局を指定しなければならない。この当局は、以下施政権者といい、1若しくは2以上の国又はこの機構自身であることができる。


第82条

いかなる信託統治協定においても、その協定が適用される信託統治地域の一部又は全部を含む1又は2以上の戦略地区を指定することができる。但し、第43条に基いて締結される特別協定を害してはならない。


第83条
1.戦略地区に関する国際連合のすべての任務は、信託統治協定の条項及びその変更又は改正の承認を含めて、安全保障理事会が行う。
2.第76条に掲げる基本目的は、各戦略地区の人民に適用する。
3.安全保障理事会は、国際連合の信託統治制度に基く任務で戦略地区の政治的、経済的、社会的及び教育的事項に関するものを遂行するために、信託統治理事会の援助を利用する。但し、信託統治協定の規定には従うものとし、また、安全保障の考慮が妨げられてはならない。


第84条

信託統治地域が国際の平和及び安全の維持についてその役割を果すようにすることは、施政権者の義務である。このため、施政権者は、この点に関して安全保障理事会に対して負う義務を履行するに当って、また、地方的防衛並びに信託統治地域における法律及び秩序の維持のために、信託統治地域の義勇軍、便益及び援助を利用することができる。


第85条
1.戦略地区として指定されないすべての地区に関する信託統治協定についての国際連合の任務は、この協定の条項及びその変更又は改正の承認を含めて、総会が行う。
2.総会の権威の下に行動する信託統治理事会は、前記の任務の遂行について総会を援助する。

 


第13章 信託統治理事会

 

・構 成

第86条
1.信託統治理事会は、次の国際連合加盟国で構成する。
a.信託統治地域の施政を行う加盟国
b.第23条に名を掲げる加盟国で信託統治地域の施政を行っていないもの
c.総会によって3年の任期で選挙されるその他の加盟国。その数は、信託統治理事会の理事国の総数を、信託統治地域の施政を行う国際連合加盟国とこれを行っていないものとの間に均分するのに必要な数とする。

2.信託統治理事会の各理事国は、理事会で自国を代表する特別の資格を有する者1人を指名しなければならない。


・任務及び権限

第87条

総会及び、その権威の下に、信託統治理事会は、その任務の遂行に当って次のことを行うことができる。

a.施政権者の提出する報告を審議すること。
b.請願を受理し、且つ、施政権者と協議してこれを審査すること。
c.施政権者と協定する時期に、それぞれの信託統治地域の定期視察を行わせること。
d.信託統治協定の条項に従って、前記の行動その他の行動をとること。


第88条

信託統治理事会は、各信託統治地域の住民の政治的、経済的、社会的及び教育的進歩に関する質問書を作成しなければならない。また、総会の権限内にある各信託統治地域の施政権者は、この質問書に基いて、総会に年次報告を提出しなければならない。


・表 決

第89条
1.信託統治理事会の各理事国は、1個の投票権を有する。
2.信託統治理事会の決定は、出席し且つ投票する理事国の過半数によって行われる。


・手 続

第90条
1.信託統治理事会は、議長を選定する方法を含むその手続規則を採択する。
2.信託統治理事会は、その規則に従って必要があるときに会合する。この規則は、理事国の過半数の要請による会議招集の規定を含まなければならない。


第91条

信託統治理事会は、適当な場合には、経済社会理事会及び専門機関がそれぞれ関係している事項について、両者の援助を利用する。

 


第14章 国際司法裁判所

 

第92条

国際司法裁判所は、国際連合の主要な司法機関である。この裁判所は、附属の規程に従って任務を行う。この規程は、常設国際司法裁判所規程を基礎とし、且つ、この憲章と不可分の一体をなす。


第93条
1.すべての国際連合加盟国は、当然に、国際司法裁判所規程の当事国となる。
2.国際連合加盟国でない国は、安全保障理事国会の勧告に基いて総会が各場合に決定する条件で国際司法裁判所規程の当事国となることができる。


第94条
1.各国際連合加盟国は、自国が当事者であるいかなる事件においても、国際司法裁判所の裁判に従うことを約束する。
2.事件の一方の当事者が裁判所の与える判決に基いて自国が負う義務を履行しないときは、他方の当事者は、安全保障理事会に訴えることができる。理事会は、必要と認めるときは、判決を執行するために勧告をし、又はとるべき措置を決定することができる。


第95条

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国が相互間の紛争の解決を既に存在し又は将来締結する協定によって他の裁判所に付託することを妨げるものではない。


第96条
1.総会又は安全保障理事会は、いかなる法律問題についても勧告的意見を与えるように国際司法裁判所に要請することができる。
2.国際連合のその他の機関及び専門機関でいずれかの時に総会の許可を得るものは、また、その活動の範囲内において生ずる法律問題について裁判所の勧告的意見を要請することができる。

 


第15章 事務局

 

第97条

事務局は、1人の事務総長及びこの機構が必要とする職員からなる。事務総長は、安全保障理事会の勧告に基いて総会が任命する。事務総長は、この機構の行政職員の長である。


第98条

事務総長は、総会、安全保障理事会、経済社会理事会及び信託統治理事会のすべての会議において事務総長の資格で行動し、且つ、これらの機関から委託される他の任務を遂行する。事務総長は、この機構の事業について総会に年次報告を行う。


第99条

事務総長は、国際の平和及び安全の維持を脅威すると認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる。


第100条
1.事務総長及び職員は、その任務の遂行に当って、いかなる政府からも又はこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、又は受けてはならない。事務総長及び職員は、この機構に対してのみ責任を負う国際的職員としての地位を損ずる虞のあるいかなる行動も慎まなければならない。
2.各国際連合加盟国は、事務総長及び職員の責任のもっぱら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者が責任を果すに当ってこれらの者を左右しようとしないことを約束する。


第101条
1.職員は、総会が設ける規則に従つて事務総長が任命する。
2.経済社会理事会、信託統治理事会及び、必要に応じて、国際連合のその他の機関に、適当な職員を常任として配属する。この職員は、事務局の一部をなす。
3.職員の雇用及び勤務条件の決定に当って最も考慮すべきことは、最高水準の能率、能力及び誠実を確保しなければならないことである。職員をなるべく広い地理的基礎に基いて採用することの重要性については、妥当な考慮を払わなければならない。

 


第16章 雑 則

 

第102条
1.この憲章が効力を生じた後に国際連合加盟国が締結するすべての条約及びすべての国際協定は、なるべくすみやかに事務局に登録され、且つ、事務局によって公表されなければならない。
2.前記の条約又は国際協定で本条lの規定に従って登録されていないものの当事国は、国際連合のいがなる機関に対しても当該条約又は協定を援用することができない。


第103条

国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する。


第104条

この機構は、その任務の遂行及びその目的の達成のために必要な法律上の能力を各加盟国の領域において享有する。


第105条
1.この機構は、その目的の達成に必要な特権及び免除を各加盟国の領域において享有する。
2.これと同様に、国際連合加盟国の代表者及びこの機構の職員は、この機構に関連する自己の任務を独立に遂行するために必要な特権及び免除を享有する。
3.総会は、本条l及び2の適用に関する細目を決定するために勧告をし、又はそのために国際連合加盟国に条約を提案することができる。

 


第17章 安全保障の過渡的規定

 

第106条

第43条に掲げる特別協定でそれによって安全保障理事会が第42条に基く責任の遂行を開始することができると認めるものが効力を生ずるまでの間、1943年10月30日にモスコーで署名された4国宣言の当事国及びフランスは、この宣言の第5項の規定に従って、国際の平和及び安全の維持のために必要な共同行動をこの機構に代ってとるために相互に及び必要に応して他の国際連合加盟国と協議しなければならない。


第107条

この憲章のいかなる規定も、第二次世界戦争中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。

 


第18章 改正

 

第108条

この憲章の改正は、総会の構成国の3分の2の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の3分の2によって各自の憲法上の手続に従つて批准された時に、すべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる。


第109条
1.この憲章を再審議するための国際連合加盟国の全体会議は、総会の構成国の3分の2の多数及び安全保障理事会の9理事国の投票によって決定される日及び場所で開催することができる。各国際連合加盟国は、この会議において1個の投票権を有する。
2.全体会議の3分の2の多数によつて勧告されるこの憲章の変更は、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の3分の2によって各自の憲法上の手続に従って批准された時に効力を生ずる。
3.この憲章の効力発生後の総会の第10回年次会期までに全体会議が開催されなかった場合には、これを招集する提案を総会の第10回年次会期の議事日程に加えなければならず、全体会議は、総会の構成国の過半数及び安全保障理事会の7理事国の投票によって決定されたときに開催しなければならない。

 


第19章 批准及び署名

 

第110条
1.この憲章は、署名国によって各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない。
2.批准書は、アメリカ合衆国政府に寄託される。同政府は、すべての署名国及び、この機構の事務総長が任命された場合には、事務総長に対して各寄託を通告する。
3.この憲章は、中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、アメリカ合衆国及びその他の署名国の過半数が批准書を寄託した時に効力を生ずる。批准書寄託調書は、その時にアメリカ合衆国政府が作成し、その謄本をすべての署名国に送付する。
4.この憲章の署名国で憲章が効力を生した後に批准するものは、各自の批准書の寄託の日に国際連合の原加盟国となる。


第111条

この憲章は、中国語、フランス語、ロシア語、英語及びスペイン語の本文をひとしく正文とし、アメリカ合衆国政府の記録に寄託しておく。この憲章の認証謄本は、同政府が他の署名国の政府に送付する。

以上の証拠として、連合国政府の代表者は、この憲章に署名した。

1945年6月26日にサン・ワランシスコ市で作成した。

 

 

 


第8代国連事務総長:潘基文(パン・ギムン)氏

 第8代国連事務総長に就任する韓国の潘基文(パン・ギムン)氏は、政府部内と国際舞台で37年にわたる経験の持ち主です。

職歴

 潘氏は事務総長に選出されたとき、韓国の外交通商部長官を務めていました。潘氏の外交通商部での経歴は長く、ニューデリーやワシントンD.C.、ウィーンへの赴任経験があるほか、青瓦台外交補佐官、大統領外交安保首席秘書官、政策立案担当次官、米州局長などの要職も歴任しています。潘氏は一貫して、朝鮮半島の平和をビジョンに掲げ、地域だけでなく、世界全体の平和と繁栄に幅広い役割を果たしてきました。
潘氏の国連とのつながりは深く、1975年にはすでに、外交通商部国連課に配属されていました。その後、活動の範囲はさらに広がり、ニューヨークの韓国国連代表部1等書記官、ソウルで本省の国連課長を務めたほか、駐オーストリア大使在任中の1999年には、包括的核実験禁止条約機関準備委員会の委員長としても活躍しました。韓国が国連総会の議長国となった2001年から2002年にかけては、議長秘書室長を務め、会期早々から9.11同時多発テロ非難決議の迅速な採択に貢献しました。また、総会の機能強化を目指す取り組みにも数多く着手し、危機と混乱の中でスタートした会期を、重要な改革の採択により実りある会期として締めくくることにも尽力しています。
潘氏はまた、南北朝鮮関係に絡む問題にも積極的に関与してきました。1992年には外交通商部長官特別補佐官として、歴史的な「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」の採択を受けて発足した南北共同核管理委員会で副委員長を務めています。また、2005年9月には外交通商部長官として、6者協議で北朝鮮の核開発問題解決に関する共同声明の採択にこぎつけ、朝鮮半島の平和と安定の促進に向けた画期的な合意に達する上で指導力を発揮しました。


学歴

潘氏は1970年、ソウル大学で国際関係学士号を取得。1985年にはハーバード大学ケネディ行政大学院から行政学修士号を受けています。

褒賞

潘氏は国内、国外で数多くの賞や勲章、さらには表彰を受けています。韓国では国への貢献を評価され、1975年、1986年、2006年の3度にわたり勤政勲章を授与されました。

横顔

潘氏は1944年6月13日生まれ。高校時代の1962年に知り合った妻、柳(潘)淳沢[Yoo (Ban) Soon-taek]氏との間に息子1人、娘2人。潘氏は韓国語のほか、英語とフランス語にも堪能です。

国連欧州本部 自由権規約人権委員会

国連総会で採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)28条に基づき、
同規約の実施を監督するために設置され、
1976年から活動を開始した国際連合の機関。
日本政府に対し権利保障のために有効な手段を講ずべきであるとの勧告。http://rev-moon.info/higaisyanokai.html
http://paramirado.com/higaisya.html






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